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農業アラカルト2

11月12日/

[「廃プラ肥料に!? 植物由来、尿素へ返還」。日本農業新聞の記事]

◆地球環環境問題が、熱を帯びています。英国グラスゴーで開催中のCOP26では、スエーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんらが、脱炭素社会へ世界市民が声を挙げよう、と訴えました。政府のこの課題への取り組みの悪さを告発する“化石賞”をもらうなど日本は、世界に大きく後れを取っています。残念です。もてる技術力を生かして世界に貢献できるのに・・・・と思っています。そんな思いの募る昨今ですが、標題の見出しの新聞記事を見つけました。それを以下に。

◆11月11日付け「日本農業新聞」(1面)・・・<東京工業大学などは、植物を原料にしたプラスチックを簡易な方法で分解し、化学肥料の尿素に変換する仕組みを開発した。作られた尿素が植物の成長を促す効果も確認。植物性プラスチックの肥料化技術が確立されれば、回収した廃プラを原料に肥料に肥料を 製造し、農業生産に活用できる可能性がある。

 同大学と東京大学、京都大学で作る研究チームは、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来のブドウ糖を原料に「イソソルビド」という物質を合成。これを基に、自動車の内装や外装の部品にも使われるプラスチックの一種「ポリカ-ボネート」を作った。このポリカーボネートの粉末をアンモニア水に浸し、90度で6時間加熱したところ、窒素肥料として使われている尿素とイソソルビドに分解できた。加熱せず、常温で浸した場合も2,3週間ほどで分解できた。

 研究チームは、分解してできた尿素やイソソルビドを、生育試験に使われることが多いシロイヌナズナに与えて栽培する実験も行った。悪影響はなく、生育を促すこともあった。今後、より詳しく影響を調べる。農業現場では、農業用フィルムや農薬の空きボトルなど廃プラスチックの処理対策が課題。これを農業生産に役立つ形で解決できる可能性がある。同大学物理工学院の青木大輔助教は「農業用フィルムのような性質を持たせることはできるだろう。廃プラスチック削減に役立てたい」と期待する。>

                      (宮﨑記)

農業アラカルト1

11月3日

[農作業事故多発!! 趣味的農業を楽しんでいる方々、120%の注意を]

◆農水省は令和2年6月分から農作業に関わる死傷事故を月ごとに集計し発表しています。都道府県、農機具販売業者、製造事業者等から収集したもので、すべての事故という訳ではありませんが、死亡事故に関しては全貌に近いものでしょう。こわい現実に眼を向けましょう!!

◆令和3年9月に発生した死傷事故は、発表によると以下です(農水省HPなどから)。

農業機械作業に係る死傷事故:51件
うちコンバイン         :18件・・・・うち9件が死亡事故
うち乗用型トラクター :8件・・・・・同3件
うち歩行型トラクター :8件・・・・・同1件

その他の死傷事故:8件
 うち高所からの転落:3件  ほか

◆農水省では次のように注意書きをしています。

  • 今回、コンバインによる死傷事故が18件報告されており、このうち9件が死亡事故でした。直近(令和元年)の「死亡事故調査(悉皆調査)」におけるコンバインの死亡事故は9件であり、任意の報告件数にもかかわらず、わずか1ヶ月間で同数の死亡事故の発生が確認されたこととなります。
  • 今回報告のあった9件の死亡事故を詳しくみると8件が転落・転倒によるものでした。コンバインは、小さな段差でも傾きやすく、運転席からの死角も多くあります。ほ場進入路など狭い場所での移動では、補助者に誘導をお願いしたり、降車して路肩の状態を確認するなど、特に慎重な作業が必要です。
  • また、後退するコンバインにひかれた可能性のある死亡事故も報告されています。運転手は、後進の際には周囲の状況を確認するとともに、ホーンを鳴らすなど合図をしてから作動させる習慣を徹底しましょう。

◆趣味的農業にはコンバインは直接的には関係ありませんが、耕運機や草刈り機は良く使います。筆者は昨年5月、小型耕運機の操作ミスで機械をバックさせてしまい後ろ向きに転倒、腰の骨を折りました。もう1件、10年ばかり前に、大型耕運機を使用中に畑から農道に機械を走り出させてしまい、自分も機械ごと農道下2mほどの田圃へ突っ込んでしまいました。幸い打撲ぐらいで大事に至らなくて助かりましたが、「命拾い」をした感じでした。なぜ機械が走ってしまったか? 畑の柔らかい土を順調に耕していた耕運機のローラーが、急に固いん路面に出たため土を掘れずに、ガタガタと走り出したーーというわけです。ぼんやり操作していたせいです。

◆その教訓--。①耕運機運転では気を抜かないこと。②異常事態が起きたら、耕運機のクラッチをすぐにオフにすること。手でコントロールしようとしないこと!

                         (宮﨑記)

音楽アラカルト2

10月25日

[「仁を修め、義を修め、楽の神髄へ通じる」という『孟子』中の原文対訳]

◆まず、原文は次です。

<孟子曰,仁之実,事親是也。義之実,従兄是也。智之実,知斯二者弗去是也。礼之実,節文斯二者是也。楽之実,楽斯二者。楽則生。生則悪可巳也。悪可巳,則不知足之踏之手之舞之。>

◆和訳は、次です。

<孟子曰く、「仁の実は、親に事(つか)うることこれなり。義の実は、兄に従うことこれなり。智の実は、この二者を知って去らざることこれなり。礼の実は、この二者を節文することこれなり。楽の実は、この二者を楽しむ。楽しめば生ず。生ずればいずくんぞ巳む(やむ)べけんやとならば、足のこれを踏み、手のこれを舞うことを知らず。>

『孟子 中国の思想3』(徳間書店)188p

             (宮﨑記す)

音楽アラカルト1

10月16日/

[『孟子』に注目!「仁を修め、義を修めると、ついには楽の神髄へ通じる]

◆『孟子』に、表題のごとく「楽」=「音楽」について思想家・孟子の言葉が書かれています。“孟母三遷の教え”で知られる孟子は周王朝の紀元前372年の生まれとされます。幼くして父を亡くし、母の手一つで育てられる。住居は初め墓地の近くで、彼が葬式の真似事ばかりして遊ぶので、母は次に市場近くに移住。すると商人の真似ばかりして遊ぶので、次に学校の近くに引っ越すと、祭祀や儀礼の真似事をして過ごすようになり、母はここが「教育に最適」と思った――という故事が、孟母三遷の謂いだとされます。

◆孟子はよく学び、中国随一の思想家として“聖人”とされる孔子の教えを継承し、聖人の道を広めたと評価されています。その孟子の思想=言辞、行動・治績をまとめた書籍が『孟子』です(ちなみに孔子のそれは『論語』)。

◆「楽」に関する言辞は『離婁篇』中に。小生所蔵の『孟子 中国の思想3』は同書筆者ら(『中国の思想』刊行委員会)がほどこした日本語訳と原文(直訳)が併記された部分と、直訳をさらにわかりやすく現代風に解説した部分から成っています。まず解説文を紹介します。次の通りです。

◆「リズム」という小題(さすがに現代風解説文)付きで――。<仁の神髄は、親に孝行すること、義の神髄は、兄に従順なことである。智の神髄は、この二つをわきまえ、忘れないこと、礼の神髄は、この二つを折り目正しく行うこと、楽の神髄は、この二つの情操を音楽化することである。その音楽を聞けば、仁義の心が湧いて来る。湧いて来れば、抑えておけない。抑えておけなければ、ついリズムにのって踊り出すように、自然に仁義を行うものだ。>

          (※原文と直訳文は、この続きで次回にアップします)     (宮﨑記)

食アラカルト(5)

9月30日/

[大隈重信邸の台所は25坪だった・・・『食道楽』]

 ◆村井玄斎の『食道楽』は明治の文明開化期の、日本の食事情をあますところなく伝えていて、興味深いです。当ホームページの<食アラカルト>で先に一瞥しました。同書は上下巻あり、ともに500ページを超える大作で、つまみ食いし、いったん市図書館に返本するに当り、1点追記します。

 ◆上巻の巻頭に、結い髪・和服姿の女性達が立ち働くひろーい台所の口絵があり、「大隈伯爵家の台所」と書いた説明文が載っています。以下です。

 ◆<巻頭の口画に掲げたるは現今上流社会台所の模範と称せらるる牛込早稲田大隈伯爵家の台所にして山本松谷氏が健腕を以て詳密に実写せし真景なり。台所は昨年の新築に成り、主人公の伯爵が和洋の料理に適用せしめんと最も苦心せられし新考案の設備にてその広さ二十五坪、半ば板敷き半ばセメントの土間にして天井におよそ四坪に硝子明取りあり。極めて清潔なると器具配置の整頓せると立働きの便利なると鼠の竄入(ざんにゅう)せざると全体の衛生的なるとはこの台所の特長なり。口画を披(ひら)く者は土間の中央に一大ストーブの据えられたるを見ん。これ英国より取り寄せられたる瓦斯ストーブにて高さ四尺長さ五尺幅弐尺あり、この価弐百五十円なりという。・・・・(中略)同邸の一名物と賞せらるる温室仕立の野菜なり。三月に瓜あり、四月に茄子あり、根菜果茎一として食卓の珍ならざるはなし。・・・・(後略)>

 ◆NHKの『晴天を衝け』に登場する大隈の口調の癖「・・・であ~る」は、演出ではなく、実際にそうだったようですが、真偽については宿題に!

(宮﨑記)