理事長発ほぼ毎日ペンとパン

「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」分割連載8回目

8月31日 How are you doing

連載8回目

タイトル:「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」

 主催:「NPO食と農」 後援:「財団法人都市化研究公室」

<討論者4人>

小若順一(NPO食品と暮らしの安全基金代表、市民運動家)

 澤登早苗(恵泉女学園大学人間社会学部 学部長 教授、農学博士)

 松下元之(NPO食と農監事、デュ・アン漢方スパ経営、薬剤師)

 宮崎隆典(NPO食と農理事長、ジャーナリスト)

 

宮崎)では、次に私の発言ということで。原発事故があって、消費者
の食品の安全性に対する考え方が変わりましたね。以前は農薬と添加物
の問題が中心でしたが、そこから急転回して。先日、静岡県三島市から
放射能の問題も含めて「食の安全」というテーマで講演をして欲しいと
いう依頼がありまして、放射能については素人ですが、ということで引
き受けました。

さあ大変だ、とネットからこれはという資料をかき集めて“このレジ
ュメ”を作りました。そして、ポイントを絞って話したことの1つは、
閾値の問題でした。農薬も食品添加物も生命体への影響という点で見る
と、閾値つまり最大無作用量がありますね。ヒトに影響が出る・出ない
のギリギリの量というその量をベースに、食品中の農薬や添加物の残留
基準が決められる。その基準値の食品なら、それを毎日一生涯食べ続け
ても問題ないというわけですよね。

一般論ですが、放射能汚染食品の問題もその基本的な考え方は一緒で
すよね。小若さんの資料で見ると野菜類・穀類は
500Bqkg、飲料水・
乳製品は
200Bqkgが基準なので、それらを毎日1kg、一生涯食べ続け
ても問題ないと解釈していいわけですよね。先ほどは「閾値」はないと
考えるべし、という意見が出されましたが、講演ではボクは閾値の考え
方に立って話しました。

シーベルト換算もその資料に出ていて、乳幼児の場合はベクレル→シ
ーベルトの換算式は違うとあります。で、その換算の話もしながら、基
準値はあくまで基準値であると、しかしなるべく摂取しない方が「安心
安全」であることは間違いないと、閾値に立ちつつ、そう話しました。

質問が出ました。自

「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」分割連載7回目

8月31日 How are you doing

連載7回目

タイトル:「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」

 主催:「NPO食と農」 後援:「財団法人都市化研究公室」

<討論者4人>

小若順一(NPO食品と暮らしの安全基金代表、市民運動家)

 澤登早苗(恵泉女学園大学人間社会学部 学部長 教授、農学博士)

 松下元之(NPO食と農監事、デュ・アン漢方スパ経営、薬剤師)

 宮崎隆典(NPO食と農理事長、ジャーナリスト)

 

NPO11年討論会

(写真は左列奥から、小若さん、時計回りの順に、澤登さん、松下さん、宮崎)

澤登)長崎、広島で被爆した人たちに味噌が有効だったといわれていますね。
おそらくミネラル分がそのポイントだったと思われます。人が健康でいるため
にはミネラル分も、その他の栄養分も正しく摂ることで、免疫力の強い身体を
作っておくことが大事ですね。煮干しを大事にしていることはさきほど述べまし
たが、我が家では子供たちが小さいときからそれは常食にしています。放射
能汚染のない煮干しを食べましょう。これをもう一度強調したいですね。

松下)確かにミネラルは重要なポイントだと思います。私は主食が一
番、そして玄米食が一番と考えていますが、玄米食を続けている人と、
そこまでは手が届かないという人とでは、はっきりと違いが出てきます
ね。データを取っているわけではないですが、明らかな違いが出てくる
んです。

玄米食を続けていただくためには、まず発芽玄米と白米を半分ずつ混
ぜて炊いてもらいます。この配合はとても美味しいです。なので、ほと
んどの人が継続できます。初めは手元にある白米を使ってもらいますが、
次第に有機の白米や五分搗き米に切り替えて行くんです。

宮崎)ミネラルの問題は古くから、化学肥料の問題もあって、例えば
ホウレンソウのカルシウム分が標準値より年々下がる傾向にあるといっ
た指摘がありましたね。放射能の問題が出てきて、野菜を調理する際、
ホウレンソウなどの葉物は葉をよく洗って放射性物質を洗い落とす、根
菜類は皮をよく剥くといいと言われて、悩ましい問題が出てきました。
もともとニンジンなんかは皮を剥くな、そこに栄養素があるから、とい
われていたのに。いわゆるトレードオフの問題。あっちを立てればこっ
ちが立たないという問題です。それで、ボクは自分の
NPO筑波農場でつ
くっているジャガイモですが、念のため肉ジャガをつ
くると、肉とジャ
ガイモだけ食べて、汁は食べないのがいいのかな、なんて悩んでいます。

小若)それはまったく違う。もったいないじゃない。現代人にはミネ
ラルが不足しているし。澤登さんみたいに自給自足で、かつ煮干しを食
っている人はいまは少ない。普通、煮干しなんか使わなくてダシをポン
と入れるだけでしょ。そのダシの部分で微量ミネラルが取れなくなって
いる。外食が多いと、料理人がいない店では水煮のものに味付けて出す
だけ。だからミネラルが足りない人が、ミネラル抜いた食事しかとって
いないわけです。

宮崎)ジャガイモの放射能汚染ですが、農産物生産者でもある「NPO
食と農」ではこの前、収穫したジャガイモの放射線量の測定を「財団法
人日本食品分析センター」に依頼したんです。それというのも、今年、
ボクらはジャガイモ、サツマイモ、サトイモの3種の芋を合計
1000kg
ばかり被災地支援として贈ろうというプランを立てたんです。種芋や苗
を植える時期が全部
311の後でしたから。3種で例年の倍以上300坪ば
かり植えましたかね。

で、先日ジャガイモの本格収穫に備えて、検査用に掘って、泥をよーく
洗って規定の量
2kgを分析センターに送りました。明日、その結果が出る
ことになっています。ジャガイモの食品衛生法上の暫定基準は
500Bqです
から、その基準を下回るのは間違いなく、基準値より「
0」が2つ少ない
数値以内に収まるだろうと想像しています。検査はヨウ素とセシウムにつ
いて行われ、ヨウ素は収穫日を書いておけば、収穫時点の放射線量を推定
したものを出す、つまりヨウ素は放射能の半減期が8日であることを踏ま
えて数値を出す、その速報値を5日間で出す、正式な証明書を
10日後に出
すということでした。速報値が今日に間に合えば良かったんですが、明日
なんです。
検査結果は、ヨウ素もセシウムもともに「検出せず」。検出限界値は
ともに5
Bq
。写真参照)


放射線検査証明書110727 011

 小若)
ずいぶん時間がかかるんですね。

宮崎)検査依頼が混んでいるということですね。で、料金は21000円。
もっと安く検査できる体制が必要ですね。でも、食料支援をしようとい
うからには、多少お金はかかってもそれが
NPOの良心だと考えています。

小若)検査の内容によってはもっともっと高い。ジャガイモや大根な
どの芋類や根菜類の問題は、セシウムが大根の中にどれだけ入ってくる
かですね。空から来る放射性物質の問題は福島を除いて、茨城はもうほ
ぼないはずです。            (次回に続く)

「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」分割連載6回目

8月30日 How are you doing

連載6回目

タイトル:「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」

 主催:「NPO食と農」 後援:「財団法人都市化研究公室」

<討論者4人>

小若順一(NPO食品と暮らしの安全基金代表、市民運動家)

 澤登早苗(恵泉女学園大学人間社会学部 学部長 教授、農学博士)

 松下元之(NPO食と農監事、デュ・アン漢方スパ経営、薬剤師)

 宮崎隆典(NPO食と農理事長、ジャーナリスト)

 

松下)小若さんと澤登さんの生の情報を驚きながら聞いていました。
一般の人たちはいろんな方法で情報を得ようとしています、私もそうで
す。でもなかなか的確な情報が得られないという悩みがあります。これ
が今度の原発事故での、私の真っ先の素朴な実感です。

わが社は、デュ・アン漢方スパという店舗を運営しています。お店は
赤羽の
JRの高架下にあり、漢方薬局・漢方整体・カイロプラクティック
・アロマトリートメント(植物療法)の複合店舗です。「一に養生、二に
治療」を前提とした店作りを心がけています。

お客様は治療の目的で最初は来店されますが、どうして病気になってし
まったのか? どうしたら根本解決できるのか? をお客様と一緒に考え、
“養生”の大切さに気づいていただき、そのお客様により適した生活改善
の指導を積極的にしています。それが店舗運営のコンセプトです。

養生の中でもやはり食養生は重要です。玄米菜食、無添加食材、厳選し
た塩・味噌・醤油・油などの調味料、そういった食品を扱っています。そ
して土曜日限定で有機野菜も販売しています。また、当「
NPO食と農」の
関連団体である都市民の週末農業団体「土日農業研究会」の有機野菜も月
に一度、最終日曜日に販売させていただいております。

これらの有機野菜はともに茨城の筑波産なんです。今回の原発事故のあ
と一気に風評被害が広がったので、震災後
1か月半ぐらい販売を中止して
いました。で、いまは販売再開しています。小若さんにお聞きしたいので
すが、一時風評被害の出ていた茨城の野菜の安全評価についてはどうお考
えですか?

小若)さき

「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」鼎談分割連載5回目

8月30日 How are you doing

連載5回目

タイトル:「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る】

 主催:「NPO食と農」 後援:「財団法人都市化研究公室」

<討論者4人>

小若順一(NPO食品と暮らしの安全基金代表、市民運動家)

 澤登早苗(恵泉女学園大学人間社会学部 学部長 教授、農学博士)

 松下元之(NPO食と農監事、デュ・アン漢方スパ経営、薬剤師)

 宮崎隆典(NPO食と農理事長、ジャーナリスト)

宮崎)20km圏内にも入ったんですか?

澤登)いいえ、外だけです。

宮崎)澤登さんは放射線物理学とかの放射線の専門家ではないわけ
ですが、農学者でいらして、そのお立場から想像してみて調査された
飯館村では、あるいは
20km圏内のどのあたりなら農業は継続してでき
ると感じられましたか? セシウムなどが相当蓄積しているわけですよ
ね、特に原発に近いところでは。何年か先に農業を再開できる可能性
があるでしょうか、あるいは
10年先とか20年先とかでないと再開でき
ないでしょうか。その辺についてはどう感じていますか。

澤登)私は相当難しいと思っています。農地は、耕さないと、手を
入れないとダメになるという問題もあります。もう一つは水源の問題。
これが汚染されると、耕地に流れてくる。そういったことを考え合わ
せると、汚染が激しい地区は相当広範囲に及ぶでしょうし、農業の再
開が厳しい地区は少なくないと思います。ただ、十把ひとからげには
言えない。山一つ越えると汚染が少ないといったことがあるようです
から。だから、早急に実態調査をしっかりやる必要があります。

宮崎)汚染の深刻な地域が何万ha、住民が何万世帯で何万人・何
十万人に及ぶか分かりませんが、2、
3年先に農業が再開できる見通し
があるというそんなに甘い状態ではないということですね。原発を離
れて、三陸はどうかと見れば街は
壊滅しました。復興計画では、高台
に住宅を造り、職場すなわち漁業などには平地に降りてきてやるとい
う案が出ていますが、農業はそうはいきません。高台や平地とかに関
係なくもう生産の場所たる農地を手放さなければならないというとこ
ろが相当でてくる、ということでしょうか。

澤登)三陸のように津波だけの被害の地域と、原発事故による放射
能汚染が著しいところとで一番違うのは、津波だけの被害の場合には
酷い状況はもう終わっているという点です。今なお海水が溜まってい
て、抜けないところについては、わざわざ水田に戻す必要があるのか
という問題もあると思います。地形も変わってしまっているし、もと
もと湿地に近いところを水田にしたわけだから、そこはもう諦めて違
うところに水田を造るといった発想があっていいもいいでしょう。し
かし、それは放射能汚染の問題がないところに限ります。放射能汚染
の地域は全部が汚染されているだけでなく、いまだに事態が進行中で
あることに留意しないといけません。一番の問題は、一刻も早く原発
からの放射能漏れが止まることですが。その上で、まき散らされた放
射能をどうしていくのか、ということになります。しかし、これを取
り除くことは不可能。畑の除染とか言っていますが、そんな簡単な話
ではないですよ。

宮崎)表土を10cm取り除いて客土してなんて言われていますが、
それが出来るようなレベルとか規模の問題ではないと。

澤登)下水処理場の汚泥からも放射性物質が出ています。だから放
射線は、相当広範囲に拡散されている可能性があり、地下水からも出
ているかもしれません。もう一つ、田中先生はもう放射能は飛んでな
いから安心などと言われているようですが、
3月の水素爆発の際に放出
されたものが杉の葉っぱか何かにくっつき、すぐには吸収されない形
になっている、あるいは土の中にセシウムがあったとしても、何かと
結びついて吸収されないタイプになっている可能性があります。しか
し、これを植物に土の中から吸収させるとずいぶん減る。それで考え
られているのがヒマワリで、ヒマワリを栽培し、土壌中のセシウムを
吸収させ、そのタネから油を搾り、その残渣も含めて東電に買っても
らうという形があります。

松下)それを燃やすんですか?

澤登)燃やして灰にする。その残渣は火力発電で使い、灰は東電に
処理してもらう。作業員は
60歳以上の人たちにして。若い人が作業を
通じて被爆することは避ける。そういうプランをどんどん推進してい
きたいですね。

宮崎)下水処理場の問題ですが、そこらにつては官僚はどういう発
想をもっているのでしょう? これからどうするかということですが、
水道だから厚生行政になるのかな。その汚泥を肥料にしようというこ
とだから、農水省も絡むわけですね。この問題、彼らはどうしようと
しているのでしょう?

小若)畑へ入れる汚泥を200Bqに規制したんです。下水処理場のは
8000Bqという基準です。食品は低くてもが200Bqだから、これを下げ
れば、汚泥肥料ももう少し下げられるのだろうけれど。

澤登)汚泥を大量に処理しようとするのは大変。畑はゴミ捨て場で
はありませんから、基

「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」分割連載4回目

8 月29日 How are you  doing

連載4回目

タイトル:「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る】

 主催:「NPO食と農」 後援:「財団法人都市化研究公室」
NPO11年討論会
写真は、左列奥から小若さん、時計回り順に、澤登さん、松下さん、宮崎

宮崎)では、ここでスピーカーを交代し、澤登さんお願いします。
澤登)最初に、さきほどから話題になっている被爆許容量100mSvの話に関連したことをお話します。
つい最近、J-wave(
FMラジオ)のジャム・ザ・ワールドという番組で、放射線医学が専門の東大の中川恵一准教授の話を聞きました。
 それは放射能にも閾値(しきいち)があり、被爆量が
100mSv以上だと癌のリスクが高くなるが、それ以下については影響が良く分かっていない。そのため、被爆によるリスクを直線的と見るのは科学的ではなく、哲学的である、というものでした。
 これは、先ほど小若さんが紹介された、国際的な研究グループが認めている「被爆のリスクは、直線的、閾値なし」という事実に反しているわけで、これを聞いて驚きました。
 私はこの
2月に東京、3月初めに仙台で、消費者庁主催の農薬のリスクマネジメントに関するセミナーにスピーカーとして参加し、他のスピーカーから類似した話を、つまり大半の農薬はあるところまでは健康に悪影響を及ぼさないが、一定以上になると(閾値を超えると)健康障害が出始める、という話を聞き、大きな疑問を抱いていました。
 農薬による健康への影響だって、人によってその人が持っている体質などによって明らかに異なっているのに、被爆リスクについても同じような話が公然とされていることを知り、愕然としました。限られた数字、データを根拠に、ここまでは問題ではありません、と言い切ってしまう科学者の非科学性、そういう研究者が増えていることを私は危惧しています。
 知的想像力を働かせ、命を脅かすかもしれない可能性があることに対しては、ノーという、予防原則の立場を取る勇気を持つことがいま科学者に求められているのでないでしょうか。
 ラジオでは、さきほど話の出た広島や長崎のケースについても触れておられ、遺伝子の欠損についても関係が無かったと話されていました。

 

  私は、有機農業をメインテーマにして、活動しています。有機農業では、食の安心という問題がまず話題になりますが、その際に、ただ単に農薬をかける、かけないとう問題だけでなく、長期的な視点に立って、将来に渡って影響が出る可能性があるものについては、はっきりノーという予防原則的な考え方が必要であることをきちんと伝えていきたいと思っています。
 命を大切にする社会を取り戻していくため、持続可能な社会をつくっていくためにには、持続可能な農業が必要であり、食と農を通じて人と人をつなぎ、コミュニティを再構築していくためには、本来あるべき農業、すなわち有機農業が必要であると考えています。
 そのためには原発事故による放射能汚染の問題についても、単に生産の安心安全というだけでなく、これからの農業や地域のあり方、日本社会のあり方についてまで総論的に押さえて行く必要があると考えています。
宮崎)その通りです同感です。持続可能な社会・持続可能な農業、そして有機農業ということですね。で、有機農業は、食と農を通して人と人をつなぐためにも、コミュニティ作りにも必要だと。澤登哲学ですね。

澤登)福島へは、私も5月の連休のときに調査に入りました。私が会長代行を務めている有機農業学会というのは、有機農業そのものを研究するだけでなくて有機農業の基本的な考え方や望ましい方法論を社会に提示しいくことを目指しています。
 その背景には、「有機農業が社会的に拡大することは、生命や環境への負荷が軽減されることであり、高く評価すべきことである」という考え方があるからです。これまで有機農業の発展・推進のために精力的に努力してきた有機農業者が、原発事故によって深刻な影響を受けている状況を憂慮して、何らかの行動を起すべきだということになり、調査に入ったんです。
 もっと早い時点で声明文