■中国・台湾産ウナギの評価についての、土用丑の日を前にした面白い記事(08・08・01)

 毎日新聞08年8月1日朝刊の記事です。記者の目(小島正美記者)、という名物コラム。
長い記事なので、ダイジェストして紹介します。関心ある方は同朝刊4pをご覧下さい。
まず、見出し。「安い割には美味 中国・台湾産ウナギ」「国産に比べ不当な低評価」「稚魚激減の方が心配」・・・。良く知る記者の鋭い視点と鋭い分析で、共感できます。国産高すぎるから、やっぱり輸入ウナギ食おうか、と思わされます。ただし、記事も触れていますが、禁止薬品などの問題がクリアーされればのこと。まだまだ安心できない、という疑念も筆者(宮崎)は半面で抱いていますが、独自取材も含めて、今後フォローしていきます。余談ですが、中国の冷凍ギョウザ事件が収まりつつある中、本当の本当は何なのか、ということも知りたいじゃありませんか。それもフォローしていきたいと思っています。
さて、毎日の記事。要点は以下です。
① 海外のウナギ養殖に詳しい舞田正志・東京海洋大学大学院教授によると、国産ウナギと例えば台湾ウナギの見分けはつかない。味や品質については、個々の蒲焼店に聞くと「素人には分からないだろうが、中国・台湾産の方がやややや泥臭い」というし、東京都内でウナギの蒲焼店を経営もし品質に精通している三田俊介・東京鰻蒲焼商組合理事長は「味の好みは消費者によって異なるだろうが、特に国産の品質が優れているとは言えない」という。
②養殖の仕方に違いがある。日本ではハウス養殖されていて、ボイラーで温めた人口池に体調6センチ前後の天然ウナギの稚魚を入れ、約半年~1年育てて出荷される。餌はアジやイワシなどの魚粉。一方、中国・台湾のウナギは多くが露地の池で育てられる。加温しないで育つので期間は約1~2年と日本より長い。餌はスケソウダラなどの魚粉。土地代などが安いため、飼育密度は日本のハウス養殖の10分の1~20分の1である。
③そうした生産コストや人件費の高さが、価格差になっていて、末端の蒲焼だと、国産は1キロ約5000円なのに対し、中国・台湾産は約2000円と2倍以上の開きがある。
④稚魚は日本、中国、台湾ともフィリピン東方の北太平洋生まれで、遺伝子のDNAはいずれも同じである。
⑤ 中国産ウナギの一部から合成抗菌剤のマラカイトグリーンの代謝物が検出された問題があった。同剤は日本でも以前から使われ、法律改正で03年7月に使用禁止になった。中国でも3年前から禁止されたが、検出されたのはごく微量で健康に影響するレベルではなく、以前に使われていたものが池の底に残っていたか、水域汚染が考えられる。
この記事を読めば、確かに大きな価格差のあるウナギの蒲焼は、輸入物でもいいか、という気にさせられるのは筆者ばかりではないでしょう。8月5日のスーパーのウナギ売り場を注目してみたいものです。