医食同源研究会をやっています

NPO食と農と健康、らしい研究をやっています。その趣旨を下記します。

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【「食と農と健康を見直す」~「医食同源」研究会~】を2年間続けます。

 ①国民医療費が年間40兆円を超え、毎年1兆円も膨らむ現状を憂えます。わが厚労省は医療改革を進めていますが、根本に病気を予防する思想がないので、医療費削減は叶わぬ夢です。②「医食同源」の思想とはどういうことか、その実践のための具体的ノウハウは何か。国がやらないなら民でやるしかありません。③食=農です。食で健康づくりをする観点から、農業イノベーションを考えることで、新時代の日本農業の振興策にも光明が見えるのではないでしょうか。

この3つの問題意識をもって「NPO食と農と健康」及び「公益財団法人都市化研究公室」の共催という形で、標記の研究会を2015年秋にスタートさせ、ひと月かふた月に1回程度、各分野の専門家による講演会を開くなどして研究を続けています。両団体の関係者(会員)のほか一般市民の方々の参加も得て、2年を一区切りに研究のとりまとめをする計画です。

「病気予防」のために、「医食同源」実践のために、食習慣・生活習慣でぜひ実行したい「推奨事項」と、これだけはしない方がいい「忌避事項」を仕分けして世に示す、それを中心に研究結果をまとめたいと考えています。講演会に関しては、その講演録をこのサイトで原則公開していく計画です。研究会(講演会)の計画(日程)も事前にこのサイトでご案内します。会場は主として東京飯田橋の「東京市民ボランティアセンター」(03-3235-1171。JR飯田橋駅わきのビル・セントラルプラザ10F)です。これまで5回の研究会をやりました。次回は3/30、ヨーロッパの有機農業の現状について研究者に話していただきます。具体的ご案内は別途。以下に、この研究会の趣旨を、掲載します。ご参加をお待ちしています。

「食と農と健康を見直す~医食同源研究~」(共催:「NPO食と農と健康」/「公益財団法人都市化研究公室」

《1》研究会の趣旨(危機意識~問題点~目指すところ)

  • 厚労省は<病気予防>を言わない。医療行政はあっても健康行政はない。国民医療費が年間40兆円を超え毎年1兆円も増加し続けていて、10年後は50兆円に上ると厚労省は予測。まるで評論家だ。医療問題は多岐に渡る。厚労省はその改革を進めてはいるが、根本に病気予防=予防医療の思想がないため、医療費が膨張するのは当然。<国民皆健康>の運動をどう実現するか。国を挙げて知恵を絞るときだ。
  • 高血圧の元凶・塩分取り過ぎ一つを取っても国の本気が見えない。先年、英国が国を挙げ食品企業の全面協力を取り付け、8g/1日から6g/1日を実現し高血圧患者を減らしたというのに、わが厚労省はようやく15年に9gを8g(成人男子)へ落としたばかり。また、認知症患者が現状400万人からそう遠くなく倍増しそうだというのに、患者の介護対策は強化しても、認知症予防を徹底させる決意もプログラムもない。相変わらずの対処療法である。高血圧症や認知症に限らず、医療費膨張の問題は畢竟、病気の予防、即ち<医食同源>の実践でしか解決できないという意識改革が厚労省に、そして国民に求められる。
  • サプリメントや健康食品が花盛りだ。国への届け出だけで良い「機能性表示食品」制度が始まった15年春以来、新聞・TVの広告は健康食品洪水といった趣きだ。それらは玉石混交で消費者は戸惑うばかり。交通整理が急務だ。他方、病院のサロン化とか過剰投薬などの問題も常態化しており、「病院頼り・薬頼り」という国民の健康意識も徹底して正されるべきだ。メディアの果たすべき責任は大きい。
  • サプリメントや健康食品の隆盛を分析すると、各商品の材料(食材)のもつファイトケミカル(アクや色素などの持つ基礎栄養素以外の特殊栄養成分)が商品性を支えていて、隆盛の背景に人々の強い健康や美容志向があることが分かる。そのため異業種も参入し商品開発が活発化し、企業は新たな食材探しに躍起である。こうした点は、農業を健康と結びつけて見直すことで新しい何かが生まれる可能性を示唆しているように思える。玄米→発芽玄米→GABA(ファイトケミカル)米→輸出戦略などが思い浮かぶ。TPP時代を前に苦戦が語られる日本の農業だが、発想の転換で米作りにも耕種農業にも酪農にも新しい道が開けるのではないか。食と農と健康の関連を混乱や間違いを通して見直す中から、3本柱のあるべき姿を探り、建設的な具体策やアイデアを提示したい。目指すは国の食糧政策や農政、健康行政への提言である。

 《2》研究内容(順不同)

①健康食品・サプリメントの新聞広告・テレビCMのチェック。健康食品・サプリメントの何が問題か/何が誰に有効か。専門家に学ぶ(講演)。

②食品添加物・残留農薬の今日的問題の整理。日本と諸外国の対応策(規制)の違いを押える。複数の添加物と農薬による“複合汚染”について追究する。専門書の研究。必要に応じて専門家に学ぶ。

③塩分取りすぎの問題に関し、加工食品やレトルト食品の塩分チェック(家庭での常用食を中心に)。

 ⇒減塩食をどう実行するか、その工夫策を示す。鎌田實医師が指導した長野県諏訪市等の成功例を調査。

④ミネラル不足食品問題の現状をチェック(「NPO食品と暮らしの安全基金」の弁当等の実買調査を参考に)。

 文部科学省が5年ごとに定める「食品標準成分表」の基準設定の仕組みを洗う。実態を捉えていない?

 ⇒どうやって食事のミネラル不足を補うか、方策を提示。ex.手作り料理の励行とか有機食品がいいとか。

⑤食生活における「推奨事項」と「忌避事項」を数多く集大成する。「塩分少なめ・甘いもの控えめ」等々から始め専門性の高いものまで。ex.GI値=グリセミック指数が低いもの(血糖値抑制効果)がいいとか。

⇒推奨事項と忌避事項の集大成を世に示し、人々の<医食同源>の実践を促し病気予防を実現させたい。

⑦医療費削減につき「予防医療」を説く医師の話を聞く(講演)。医療の現状、そして医療費削減の道筋。

⑧食で「健康」を創り出す具体のノウハウを専門家に聞く(講演)。桑の葉茶等々のイノベーション例を収集。

⑨有機農業の可能性について国内外の事情を専門家に聞く(講演)。生産者の話/流通業者の話も。

⑩日本農業の振興策/農業イノベーション/TPPへの対応などにつきそれぞれの専門家に聞く(講演)。

⑪研究の取りまとめ。国民への呼びかけと国への政策提言(農政/医療行政など)。17年末目標。      (以上。文責・宮崎)