5月13日 How are you doing
【停滞したままの日本の有機農業のカンフル剤はオーガニック・ポイント制】
日本の有機農業は停滞したまま。そういってほぼ間違いない。消費者みんなが
気付いている。有機農産物の生産者も肌で感じている。流通業界もまた然り――
だと私は見ている。
有機農業の日本の歴史は、詳しくは省くが、そう長くはない。2006年制定に
有機農業推進法が制定されたし、改正「有機JAS法」が去る4月27日
から施行され
ている。有機農業に関する「有機JAS」の農法の規定は精密・厳格を極める。
しかし、簡単にいえば、農薬を一切使わず有機肥料のみで栽培する有機農産物
は正確なデータはないが、日本では流通量の1%に満たないのが現状。ざっくり
言えば同推進法が制定された時点とほぼ変わりない。「有機JAS」に目を通してい
ただきたい。農法についての、また流通させる段階での細かい規定がよくぞここ
までというほどあり、逆にそれが生産者に二の足を踏ませているのではないかと
疑いたくなるほどだ。細かい規定は、コーデックスなどの世界基準を踏まえたも
ので、必然の流れと言えばその通りだ。でも、流通量は、ヨーロッパでもお隣り
韓国(有機農業では日本より後発)でも数%とも言われ、伸びている。
なぜか? 消費者の有機農産物に対する消費行動が、ヨーロッパや韓国の方が
地に足がついている、ということだろう。日本では、有機農産物を「安心・安全」
だと見る志向はあっても実際の消費行動に結びついていない、「安心・安全」は掛
け声だけで、うわっ滑りということだろう。
このことに私が理事を務める、ある有機農業生産者団体(NPO)では、理事たちも
生産者たちも強い危機意識をもっている。毎年何回か開く理事会では、その打開策
を話し合う。いまのままだと5年経ってもあるいは10年経っても現状打破はでき
ないのではないか、という悲観論で一致している。
さあ、どうするか。有機農業推進法を作り改正法が施行されたが、農水省は本気
で有機農業を推進しようと言う気があるのか、と私は言いたい。法律を作りっぱな
しで、普及の運動を何もしていない。いや、皆無ではないが、無いに等しい。
例えば、エコカーの助成金や電気製品のエコ・ポイントはどうだ。そういう実効
方法が、必要ではないのか。農水官僚の、頭の硬さ、センスのなさのせいかどうか
は知らないが、何か手を打たなければこの「消費量1%」の停滞状態の打破はでき
ないだろう。アイデアはいろいろあるし、予算も工夫次第でもっと有効な使い方が
できるはずだ。経済産業省を見習って、例えばオーガニック・ポイント制度はどう
だ、そう言っておこう。
エコカーやエコポイントでは、流通業を商品普及にきちんとビルトインしている。
そこらを見習うべきだ。有機農業推進には、そこが欠落していはしないか。農業者
だけが頑張っても、流通量はなかなか増えないだろう。
もう1者。消費者のうわっ滑りな安心・安全志向についてはまた稿を改めたい。
(5/13朝 宮崎記す)