「放射能汚染問題と向き合って、われら食と農を語る」分割連載2回目

8月29日 How are you doing

連載2回目
  タイトル:「放射能汚染問題と向き合い、われら食と農を語る」

 主催:「NPO食と農」 後援:「財団法人都市化研究公室」


<討論者4人>
小若順一(NPO食品と暮らしの安全基金代表、市民運動家)

 澤登早苗(恵泉女学園大学人間社会学部学部長 教授、農学博士)

 松下元之(NPO食と農監事、デュ・アン漢方スパ経営、薬剤師)

 宮崎隆典(NPO食と農理事長、ジャーナリスト)

コピー ~ 討論会資料1

小若) 資料(※上の写真の右上に累積線量が出ています。浪江町の津島では21mSv(ミリシーベルト)です。問題はその下。累積線量は3月23日からしか調べていません。一番、放射能が出て飛んできているときを除いた累積線量なのです。

ガンも、線量が少なくなっても、一直線に被害が減っていくというのが、国際基準ICRP(国際放射線防護委員会)の考えです。

そこで20mSvまで下げていくとどうなるか。下げていくと、この前NHKでは、20mSv浴びた人は150万人と言っていました。これが正しいとすると、20Svは発ガン率が5%まるという、100Sv5分の1なので、1%高まると見て、150万人なら1500人ぐらいがガンになる危険性があるいうことになります。それに内部被爆が加味されないといけないので、危険性はもっと高まります。

1週間前に現地に行ったとき、映画を作った取材班と一緒に行動していたら、田中俊一という、「ごめんなさい」と言った学者の一人で原子力委員会の委員長代理をやった人と出会いました。この人は良心的な学者で、放射能の除染を行っているとNHKスペシャルで取り上げられていましたが、この先生が、小学校で除染をやっていたのです。

ボクは防塵マスクをしていましたが、田中先生が私のことを指差して「マスクはまったく意味がない。4月以降は放射性物質は飛んでないから」と言ったんです。田中先生は基準以下なら安全という立場だから、そう言ったのでしょうが、でも、それは間違いです。大気中の放射線量は一時より少なくなってはいますが、放射性物質がまだ飛んでいるわけです。できるだけ吸い込まないようにしようという発想をしなければいけないのに、まだ飛んでいるのにマスクは不要などと言っていては、子供に被害が出て、また「ごめんなさい」と謝ることになるでしょう。

日本の法律だと、放射線管理区域の条件である0.6Sv/時(3ヶ月で1.3Sv)を越える地域は、人は住んではいけない、入っちゃいけないということです。そこに住んでいるんですから、せめて子どもと若者だけは県外に出られるように対策をとる必要があります。

また、人が住んではいけないところで作っている農産物を、他人に食べさせていいという道理はありません。福島の農産物はもう食べたくないと多くの人が思っているし、ボクもそう思っています。お気の毒ですが、福島県の東半分ではこれから10年以上、農作物はこれまでのようには売れないでしょう。ボクはそう予想します。

その原因をつくったのは、東京電力と国ですから、事故前の価格で農地を国に買い取らせるのを国に認めさせるべきと思います。それと平行して、売れなかった農産物の補償をさせなければなりません、きちんと。

もともと事故が起こると、国家予算の2倍を超える被害が出ると原子力産業会議は想定していたのです。補正予算が2兆円などというのは冗談のような金額です。

本来なら100兆円を超えるお金を出して補償しなければならないのですが、そうすると国がつぶれるので、政府はケチって出さないようにしているのです。被害者は、躊躇なく裁判を起こして国と東電に損害賠償をさせるべきです。

事故を起こしても、東電も政府もそして産業界も、事故はたいしたことないように見せようという意図がずっと見え隠れしていました。                 (次回に続く)