サトウキビからプラスティック

8月7日  How are you doing

農業のもつさまざまな可能性が、国内でも海外でも、農業の現場でも企業活動でも、
どんどん広がっています。新しい情報に出会うたび、新しさや規模に驚かされます。
こうした中で・・・・・
NPOの役割は何か? その一つは、人々の「正しい農業理解」に資することです。
日本の進路は如何? 常住坐臥、アンテナを高く立て、目を見開き、考えています。

沖縄のサトウキビ産業をどう守り育てるか? そのテーマを考えるに格好のニュース
が日経新聞にありました。スワ黒船的な話かもしれませんが。先月7月20日の記事。
少し古い(溜め読み)ですが、興味のある人、参考にして下さい。以下、全文です。

 三井物産は米化学大手ダウ・ケミカルと合弁でサトウキビからプラスティックを作り
出す世界最大規模の植物樹脂コンビナートをブラジルに建設する。石油化学樹脂と
同等かそれ以下のコストで量産し、環境負荷の低い素材として世界で売り込む。総
事業費は20億ドル(1600億円)を超える見通しで2015年に年35万トンの量産に入る。
原油価格の高騰や消費者の環境意識の高まりで石化樹脂から植物樹脂へのシフト
が進むと見て大型投資に踏み切る。
 ブラジルで原料サトウキビの農園運営から汎用樹脂のバイオポリエチレンやその他
の植物化学品を一貫で合弁生産するコンビナートにする計画。ダウが全額出資して
いる現地の事業会社「SVAN」に三井物産が2億ドル(160億円)出資し、折半出資の
合弁会社に切り替える。19日に両社が基本合意した。
 ブラジルのミナスジェライス州に13年以降、年産能力24万キロリットルのバイオエタ
ノール工場を複数、建設する。15年にはこのエタノールを原料に、年産能力35万トン
の植物樹脂工場を建設する。植物樹脂工場としては世界最大規模となる。
 化学品量産の総事業費は20億ドルを超える見通しで、三井物産も比率に応じて追加
負担する予定。
 植物樹脂の生産コストは石化樹脂の1・5~2倍とされるが、ダウは反応技術の改良と
大量生産でコストを下げ、石化樹脂と同等かそれ以下のコストで生産するメドをつけた。
強度や耐久性も一般的な石化樹脂とほぼ同等という。
 植物樹脂は、生産過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない環境素材として食品容器や
自動車、家電分野で利用が広がりつつある。三井物産はブラジルで量産する植物樹脂
を南米や北米に生産拠点を持つ日本の自動車、電機メーカーなどにも供給する考えだ。
 調査会社によると現在年30万トンの植物樹脂市場は20年には300万トンに増える見
通し。量産で価格が下がれば、普及に弾みがつきそうだ。
 サトウキビ由来の植物樹脂はブラジルの石化大手ブラスケムなどが生産しているが、
原料のサトウキビから一貫生産する大規模コンビナートの建設は初めて。
 ▼植物樹脂・・・植物など再生可能な資源から作るプラスチック。サトウキビやトウモロ
コシを分解して糖を取り出し、化学合成で樹脂に変える。植物の成長過程で二酸化炭素
(CO2)排出が増えないと見なされる。稲藁や木屑など非食料の原料から生産する技術
も開発が進んでいる。
                                   (8/7 宮崎記す)