食と農シンポジウムまで31日/農家の実態1:農家数と農業者数

12月21日 How are  you doing

【食と農シンポジウムまで31日。参加者募集中。要領は12/15付】

日本の農業は「ダメ農業」「弱い農業」じゃあ、ないです!!
たくさんの方にご覧いただき、ありがとうございます。で、朝イチで書いてます。
このところ続けて、「日本の農業、頑張ってるじゃん」の一面を書いてきました。
(財)日本消費者協会の「月刊消費者」に連載中の「農林水産業げんき列伝」
を取材するため、あちこちの農家を取材していての実感であり,認識です。

TPP(環太平洋経済連携協定)への参加問題で、「日本の農業危うし」という
側面ばかりが強調喧伝されています。おかげで日本の「ダメ農業」「弱い農業」
のイメージが以前にも増して広がっています。もしTPPで農産物の関税が全廃
されれば日本の農業へのダメージが大きいことは間違いありませんが、こたび
の問題を期に、本当に「ダメ農業」「弱い農業」かどうか検証する必要があると、
考えています。

いろんな側面を見て、考えていきたいと思います。まず農家数と農業者数。
農家数は、1960年には606万戸(うち専業は208万戸)だった。
それが、2009年には170万戸(うち専業は40万個)まで減った。
農業就業者数は、1960年に1454万人、2009年には289万人へ減った。
一言で言うと、この傾向は先進国に共通した”都市化”の現象である。
いずれも農業の衰退と見る向きもあるが、数字だけでそう断ずるのは早計だ。
単純化して言えば、専業農家がきちんと儲かる農業をしているかどうかが重要。
もちろん兼業農家も存在しなければならず、農政は包括的でなければならない。
その上で、産業としての農業が存立するために、専業農家、さらには基幹農家
が「一事業者」として十分な「働き」をしているかどうかが問題になる。

農政も、そのメリハリを忘れず展開されるべきである。現状はその点で不十分。
専業農家の営農が全体としてその「働き」をしているかといえば、それも不十分。
ただ、しっかりと儲かる農業・将来展望のある農業をしている農家も沢山ある。
だから、ダメ農業と烙印を押すなかれ、弱い農業と十把一からげにするなかれ。
農家数や、農業就業者数が減っているからと言って衰退と言うなかれ、である。

ただ1つ問題なのは就業者年齢。高齢化(65歳以上)率は2009年61.4%である。
高齢化率は後継者の有無と強く関わる。数少ない取材体験から1つ言えるのは
「親が儲かる農業をしている家には、例外はあるがほとんど後継者がいる」ことだ。
そのことを、どう受け止め、農政に生かしていくかが問題だと思う。
もう1点。定年退職した65歳以上の高齢者を、”農業従事者”としてどう生かすか、
これも「社会のあり方」「国のあり方」を考えるとき、落とせない視点だ。基幹農家
ではパートなどで高齢の主婦や定年退職者たちが元気に働き、「労働力人口」に
なっているのだ。「よき社会」だと筆者は評価している。
NPO食と農、の活動もそこらのことを課題としてとらえ、さまざまな試行をしている。
そのことを強調し、「農家の実態1」のレポートの結びとする。
なお、農家数などの数字は、「平成22年版 食料・農業・農村白書」によった。

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