新年第1回はまたまた出久根達郎さんの感服の人生相談

1月7日 How are you doing?

【出久根達郎さんの、またまた感服の人生相談】

 

長くブログ休んで、誠に申し訳ありません。極力“ほぼ毎週”を目指し頑張ります。

ときどき覗いて下さい。なにとぞ宜しくお付き合いを。では、2014年の初原稿です。

読売新聞、2014年元日の人生相談の回答に唸りました。出久根達郎さんの答えです。

相談者の相談のタイトルは「家族をどなる祖父」――。

 

【相談】

 大学生女子。同居の祖父の相談です。

 祖父は食べ方が汚く、カレーライスまで音を立ててすすります。ひげをそらず、

見た目が不潔で普段着も粗末。床屋にも行きません。

 祖母や実の娘の母が注意しますが、大声で逆切れします。母が何か言うと「お前

は偉くなったな」と繰り返すので、母はあいさつもしなくなりました。祖母は育ち

が悪かったからあきらめろと陰で言います。まるで現代版裸の王様です。

 高齢者の性格は直らないのでこちらが合わせるべきだとも聞きますが、私は祖父

が改心して母や祖母にわびるべきだと思います。孫に優しく外面はいいのに、なぜ

家族に対して良い人になれないのか不思議です。

 笑いの絶えない明るい家庭がいいのに。祖父にどなられたくないので直談判はで

きませんが、私にできることはありますか。

 追伸 祖父は人生案内をよく読んでいます。この記事が掲載されたら祖父の反応

を見てみたいです(笑)。 (千葉・T美)

【回答】(作家 出久根達郎)

 あなたは祖父が好きで好きで仕方ないのですね?

 どうです、ズバリ、でしょう? 隠さなくてもよろしい。あなたが本当に祖父を

好きでないなら、まず憎まれ口をききません。この欄に相談を寄せません。

 あなたはついうっかり、手紙の「追伸」に祖父が当欄を熱心に愛読していること、

従ってこの相談を祖父が目にしたら、いったいどのように反応するか、と書きまし

た。ぜひ読んで欲しかったからなんですね。

 ご要望にお応えして、掲載いたします。私の回答は、お孫さんがあなたにこのよ

うなことを願っていますよ、どうか身ぎれいにして、大声で怒らないでくださいよ、

とむしろ祖父に宛ててのものです。あなたに代わって祖父に伝えるだけ。

 あなたは大好きな祖父に面と向かって注意ができない。でもね、孫のあなたが直

接言ってあげると、祖父は仏頂面していてもうれしがるはずですよ。汚いとか、不

潔とか不快な言葉は使ってはだめ。笑顔でたしなめる。あなたの機知が必要です。

 

<コメント>

ナッシング・アット・オール。なのですが、やっぱり一言いいたいなあ。なんて

味がある回答だろう!! 出久根さんの深い「人間愛」「人間理解」からの心の臓を

射抜く回答。この作家がますます好きになります。6日から仕事始めにして、今日

まで懐で温めておいたのですが、脱兎のごとく掲載しました。この爺ちゃん、幸せ

者だなよ。きっといい爺ちゃんになりそうだな。    (1/7 宮崎記す)