認知症は「改善」もされないというのは?と思いつつ2冊の本を読む

12月12日 How are you doing?

【認知症について考える】

NPO食と農、はNPO食と農と健康、が名前としては、趣旨からすると適確かな

と思っているのです。このところ何回か書いたミネラルの問題も健康がらみだし。

そんな前置きをして、「認知症」のことを書きます。

 この秋、厚労省が日本における認知症患者は最近、急速に増えていて、300万人

に達し、さらに増え続けるという発表をしました。新聞・テレビが大きく取り上げ、

その後も週刊誌なども含めメディアで認知症が取り上げられない日はないほどです。

 今日、書くのは最近読んだ本についてです。ある神経内科医がネットで薦める本

のうち『こうして乗り切る、切り抜ける認知症ケア』(新興医学出版)と『私は誰に

なっていくの? アルツハイマー病者から見た世界』(クリエイツかもがわ)の2

に衝撃を受けました。

 前者は医師・看護師・作業療法士・理学療法士・臨床心理士・介護福祉士・精神

保健福祉士・ケアマネージャー・訪問薬剤師および患者の家族の人たちによる共同

執筆。QアンドA方式で書かれた本で、認知症患者のさまざまな病状と、それに対

するケアはどうあるべきかが、リアルに懇切丁寧に解説されています。病状が千差

万別であることと、ケアする家族がどんなにか大変であるかが良く分かります。

 そしてケアする家族の愛情と忍耐、試行錯誤的なケアの工夫により、症状の悪化

が相当程度食い止められるケースがあることも教えられます。

 しかし、改善された実例は挙げられていません。認知症には多くの態様・原因が

あるとされます。

 

で、ある種のものは軽度のときの手当てやケアで症状が「改善され」たり、改善を

突き詰め「ほぼ治った」などということはないのだろうかと私は希望的観測で思うの

ですが、「改善した」とか「治った」といったケースはその本にはありません。

 しかし、「身体のエクササイズ」、そして「ストレスのない生活習慣」(芸術に打
ち込
とか)、プラス「純正な食」(農薬や食品添加物フリーの食)の3つが、症状の
悪化を
食い止めたり、わたし的に言えば「改善」へ向う必
須のカギのようだ、という
印象を
読後感としてもちました。

 さすがに「完治する」というのはどのタイプのどんな軽度の場合にも、医学的にあ

りえないことかもしれませんが。否、認知症治療やケアに当たる医者やその他の専門

家の人たちは、そのスタンスに立つあまり、認知症を「改善」させることはとても手

に負えることではない、と思い込んでいるのではないか、あまりに酷い、それこそ手

に負えない症状の患者と接していて、ダメだと諦め、お手上げなのではないか。

 私には、そう思えるのです。加えて、厚労省も「改善」を目指す研究やケア行為に

行政のターゲットを置いていませんね。それが医学的に正しいのであればいいのです

が、症状があまりに酷いのでお手上げであり、だから「改善」を口にしないのではな

いか。私には、そう思えるのです。

残念至極です。なんとかしないとイカン。私はそう思って、だからいろいろ本を読

んだり、情報を集めたりしている昨今です。

 

 もう1冊の本は、若年性アルツハイマーにかかったオーストラリアの女性が書いた

ものです。1995年、46歳のときアルツハイマーと診断された女性高級官僚の、苦悩
と病気との闘いがリアルに綴られていて、本のタイトル通り、この人の
脳や身体や、
人格がどうなっていくのだろうと、小説を読む感じで一気に読み終わりました。

58年の寿命と宣告されますが、クリスチャンだったことが「神とともにある」と

いう心の安寧をもたらし、97年ごろから著しい症状の回復が見られます。

この本は2003年の発行ですので、著しい回復がその後どうなったかを出版社に聞

いてみなければなりません。

 著者はクリスティーン・ボーデンという人。不屈の精神の持主であったわけですが、

彼女は闘病中にこの病気に関して膨大な情報を集めて、自ら勉強します。その情報が

付録として分厚く、かつ分かりやすく収載されていて、アルツハイマーや認知症全般
について沢山のことを学ばされます。

 認知症にとって効果的な食材や栄養素についても触れられていて、私にとっては大
いに
読み甲斐のある本でした。

 そんな2冊です。興味のある方、読んでみて下さい。  (1212 宮崎記す)