行政や消費者団体の「消費者相談」をどう充実させるかを考えている

7月5日 How  are  you  doing

 消費者行政のあり方や消費者団体の活動のあり方についてずっと考えている。

最近は、食品や各種生活用品・家電製品などの品質が向上し、それらに対する

苦情が一頃より目立って減ってきたようだ。反面、金融絡みのダマシやインター

ネットの普及に伴うネット犯罪が急増し、また一方では高齢化や一人暮らし世帯

の増加によりお年寄りの消費者被害が急拡大している。

行政も消費者団体もこの新しい消費者問題の変化に適確に対応しているだろう

か? ノーである。振り込め詐欺が相変わらず蔓延している状況を見ても分かる。

被害に遭うほうが悪いと言えばその通りだが、一掃できる決定打はないものか? 

 社会に目を転じれば、格差問題は根深く、若者の労働環境や雇用環境は改善さ

れず、年金を中心とした社会保障制度の行き詰まりから、国民の多くが将来不安

を抱えて生きている。こうした中での消費者問題である。不良商品を買ってしま

った、インチキ業者に騙されてしまった、といった単純な消費者問題だけではな

いのだ。

 このように考えると、消費者行政や消費者団体の活動に求められるものはかつ

てなく重要になっている。問題は複雑かつ広範に及び、解決困難なものが多い。

 それらに、どのように対応していくか? 法律の整備、悪質業者の監視・締め

出し、消費者教育(啓発)の徹底、そして消費者被害の救済体制の整備がハード

面の必須要件で、それらが時代に合ったものであるかどうか常に見直していくこ

とだ。そしてもう一つ、忘れてならないことはソフト対策としての「消費者相談」

の充実である。

 ところがだ。相談の窓口がこの10年ぐらいでぐいぐい狭められている。独立

行政法人「国民生活センター」は消費者庁に吸収されそうだし、地方自治体では

財政難から相談業務を縮小している。

 民間の消費者団体の相談も機能低下をきたしているようだ。団体自体が存続の

危機にあるケースもあるようだ。国民生活センターはかつて特殊法人であったし、

『たしかな目』(月刊)という消費者専門誌を出版していたが、赤字だというの

で廃刊になって久しい。財団法人「日本消費者協会」は『月刊消費者』を昨年4

で事実上の廃刊にした。やはり赤字が理由だ。

 双方とも消費者相談はもちろん無料で、ともに専門の相談員が報酬を得て相談

に当たっている。月刊誌を中心とした出版物が収益を上げている時代は経営的に

も相談業務は円滑に回っていたが、収益が上がらなくなり業務縮小を余儀なくさ

れた、とおおむね総括できる。

 先に述べたように、消費者相談は一頃よりその内容が複雑で多岐に渡っている。

相談の需要もけっして減ってはいないはずだ。身近なところに相談の窓口があり、

消費者がそこへ出向いて行き、あるいは電話で相談ができることが絶対に望まし

い。制度は効率的でなければならないが、窓口は都道府県・市区町村などで重複

しているぐらいが今日的な状況に合致している。

消費生活上のさまざまな相談ごとがあるのに、生活圏内から相談窓口がなくな

れば、どうなるか? 高齢者・一人暮らしのお年寄りは間違いなく“孤立”する。

途方に暮れるお年寄り、もやもやした気持ちで暮らす消費者の姿が目に浮かぶ。

孤独死だって、消費者相談窓口で救えるかもしれない。今日、消費者相談制度

はそうしたことまでをカバーしていい、私はそう考える。

さあ、行政の、消費者団体の消費者相談の窓口を現状に合った形でどう再充実

させるか・・・。何がしかの試案をまとめたいものだ。

          ×  ×  ×

 話変わって新聞の「人生相談」の欄の充実は素晴らしい。以前にも増して最近、

某紙某紙の同欄を興味をもって読んでいる。人生体験が豊かで洞察力のある作家

などの回答者が、悩み多き人間の、もつれにもつれた人生の糸を明快に解きほぐ

して見せてくれるからだ。それを読み、ものの見方・人生の考え方を一つ学んだ

気になるからだ。

 回答の納得性・説得力には日々濃淡があるが、しかし、新聞の人生相談のよう

な消費者相談が、多数の消費者を相手に展開できれば理想的だと思う。

ポイントは、どんな回答者を準備するか、いかにして人を得るか(商品苦情な

どに対応する企業のコールセンターのスタッフなどではない)である。

人を得て、どんな相談システムにするのか? やっぱりアナログ方式か、いや、

インターネットを利用する手はないか、フェイスブックはどうか・・・などと考えて

いる。                   (7/5夜  宮崎記す)